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2020.02.26

部分矯正でできない例とは?

前回部分矯正と全部矯正の違いについてブログに書かせていただきましたが、今回は部分矯正でやりたいけれども、部分矯正でできない場合はどういうときかを書かせていただきます。

まずはじめにご自身で鏡を持ってチェックしてみましょう。
以下のチェック欄に1つでも当てはまる方は、部分矯正ができない可能性がありますのでご自身でチェックしてみてください。

【タイプ】でいくつか分かれますが、やってみてください。

【タイプ①】 Check!
□お口が閉じられず、歯が常にでている
□横顔がいまいち美しくないのを治したい
□横顔が鳥のように口元だけがとんがっている
□下顎(オトガイ)があまりなく、口元だけが出ており目立つ
□下顎(オトガイ)が緊張して、梅干しのようなしわができる

【タイプ②】 Check!
□横顔が受け口である
□上下の前歯が反対である
□横顔が三日月用の形をしている
□しゃくれているのが気になる
□上の前歯が出ておりお口が閉じられない
□横顔が鳥の口元のようになっている
□下顎(オトガイ)がほとんどなく、乏しい

【タイプ③】 Check!
□上下の前歯のうちいくつかが内側に引っ込んでおり、ないようみえる
□1本でも歯が捻じれて、歯の側面が見えている
□前歯のガタガタがひどくて気になる
□笑った時にいずれかの歯が八重歯になっている

【タイプ④】 Check!
□顔が歪んでいる
□下顎が左右どちらかにずれているのが気になる
□笑った時に上下の真ん中が大きくずれている

【タイプ➀:上下顎前突タイプが多かった方】
理想的な横顔というものは、世界的にもある程度の基準があります。その中でも一般的に知られているものにE-ライン(イーライン)があります。鼻のてっぺんかた下顎の顎先までを結んだ線の内側に上唇と下唇が入っている横顔がきれいな横顔と言われています。イーラインから大幅に上下唇が出ている場合は、上下左右の奥歯の抜歯が必要になる場合がほとんどで、上下の前歯を抜歯した1本歯の大きさ分(3.25mm~7.5mm)内側に大きく動かすことが必要になりますので、部分矯正では対応できません。気にされているのが口元の場合歯を大きく動かさないと、柔らい上下の唇が大きく変化することはできません。

【タイプ②:反対咬合と上顎前突タイプが多かった方】
前歯のかみ合わせが反対の場合や逆に上の前歯が大きく出ている場合には、奥歯の抜歯が必要な場合がほとんどです。
前歯の位置を正しい位置にするために動かす量が大きくなるため、全体矯正が必要になります。
ひどい状態かひどくない状態かは実際にお口に中を矯正医が確認して診断する必要がありますが、一般的に患者さんが治したいレベルの受け口や出っ歯は、毎日歯並びの治療のみをしている矯正医からすると著しく歯並びが悪い方に分類されるケースが多いように感じます。もちろん中には、部分矯正だけで、済む方も極少数(全体の1割未満)ですが、いらっしゃいます。

【タイプ③:強い叢生タイプが多かった方】
部分矯正で1番多い相談がこのガタガタです。専門用語で言いますと、『叢生』といいます。
この叢生については、スペースがうまく確保できる状況であれば、軽度、中程度の叢生は部分矯正で治療することができます。少しの重なりや捻じれはむしろ部分矯正の対象です。
しかし、チェック欄にあるような著しいガタガタについては、奥歯を抜歯する可能性があり、動きもダイナミックになるので、全体矯正が必要になります。
また、かみ合わせが深い(上の前歯に隠れて下の前歯が見えない)軽度、中程度下顎の前歯の叢生は、歯を動かそうとしても上の前歯の裏側にあたってしまうので、かみ合わせを浅くするために全体矯正が必要になります。

【タイプ④:左右非対称が多かった方】
上下の前歯(中切歯)の間を『正中』といいますが、これがずれている場合は、部分矯正の適用ではなくなります。
上下の顎を歯が収まる器だとします。そうすると、この場合歯の位置が顎という器の中で上下の歯の左右のずれている場合と顎という器自体が上下でずれている場合があります。前者の場合は顎のずれがないので全体矯正の適応になります。逆に後者は、顎自体がずれており、全体矯正または手術が併用になる矯正治療(顎変形症)が必要になる可能性があります。
また、上下で4㎜の正中のずれがあると手術で治した方が歯に負担をかけず治療することができます。

【実際の認定矯正医(日本矯正歯科学会)の声】
このように見ていくと部分矯正でしっかりとした治療ができるケースというのは、矯正治療の中では割合的にはとても少ないと思います。
しかし、患者さんの希望が『この歯だけでよい』などと治療部位が限定的でドクター側の説明(気になる部分以外は、治療しないことなど)も十分受けた上での妥協的な治療を行うことはあると思います。
そのため部分矯正治療を行う際には、矯正専門医の先生とどこまで歯を治していきたいかをしっかり伝え、妥協するべき点を十分に説明してもらい進めていくことが大事になってくると思います。

これが失敗しない部分矯正のポイントだと思います。参考にしてみてください。